RPM ベースの Linux 配布に MySQL
をインストールする方法として、RPM
パッケージの使用をお勧めします。コミュニティーに提供される
RPM は、RPM
パッケージをサポートするすべてのバージョンの
Linux で動作し、glibc
2.3
を使用します。RPM
パッケージを入手するには、項2.1.3. 「MySQL の取得方法」
を参照してください。
RPM でない Linux
配布では、.tar.gz
パッケージを使って MySQL
をインストールできます。項2.9. 「MySQL を tar.gz
パッケージから Unix
に似たほかのシステムにインストールする」
を参照してください。
弊社ではプラットフォームに特化した RPM を提供しています。プラットフォーム特化の RPM と一般の RPM の違いはプラットフォーム特化版 RPM は対象のプラットフォームに構築されて動的にリンクされているのに対し、一般の RPM は Linux のスレッドに静的にリンクされています。
MySQL の RPM 配布はほかのベンダーもよく提供しています。ほかのベンダーが提供している RPM ディストリビューションは弊社が提供しているものとその機能および特徴において異なっており、本ドキュメントの説明はほかのベンダーのインストールには必ずしも適用しません。ベンダーの説明書はそれでも検討する必要はあります。
RPM ファイル
(たとえば、次のようなエラーメッセージが表示された場合
Sorry, the host
'
)
に問題があった場合には、項2.13.1.2. 「Linux バイナリ配布の注釈」
を参照してください。
xxxx
' could not be looked
up
ほとんどの場合、関数の MySQL
インストールを取得するためにインストールする必要があるのは
MySQL-server
および
MySQL-client
パッケージだけです。その他のパッケージは、標準インストールには必要ありません。
MySQL クラスタ用の RPM.
MySQL 5.1.24 以降、MySQL で構築された標準の MySQL
サーバー RPM
では、NDBCLUSTER
ストレージエンジンのサポートは提供されなくなりました。MySQL
5.1.23 以前のインストールを MySQL で構築された
RPM からアップグレードすることを考えている
MySQL Cluster ユーザーは、MySQL Cluster NDB 6.2 または
MySQL Cluster NDB 6.3
にアップグレードするようにしてください。ほとんどの
Linux 配布で動作する RPM
がこれらのリリースシリーズの両方で利用できます。
MySQL Cluster RPM
インストールをアップグレードするときは、サーバー
および
クライアント
の
RPM を含め、インストールした
すべての RPM
をアップグレードする必要があります。
RPM から MySQL Cluster をインストールする方法に関する詳細は、MySQL Cluster Multi-Computer Installation を参照してください。
アップグレードでは、元々複数の RPM パッケージをインストールしてインストールを生成した場合は、一部だけでなくすべてのパッケージをアップグレードするのが最善です。たとえば、以前にサーバーおよびクライアントの RPM をインストールした場合は、サーバーの RPM だけをアップグレードすることはしないでください。
MySQL
パッケージをインストールしようとして依存性エラーが発生した場合は
(error: removing these packages would
break dependencies: libmysqlclient.so.10 is needed by
...
など)、MySQL-shared-compat
パッケージもインストールするようにしてください。このパッケージには、後方互換性
(MySQL 4.0 の場合は
libmysqlclient.so.12
、MySQL
3.23 の場合は
libmysqlclient.so.10
)
のための両方の共有ライブラリが含まれています。
Linux 配布の中にはまだ MySQL 3.23
で出荷しているものもあり、その組み合わせは通常ディスクスペースを節約するためにアプリケーションに動的にリンクします。これらの共有ライブラリが個別のパッケージに入っている場合
(たとえば、MySQL-shared
)、このパッケージをインストールしたままで
MySQL サーバーとクライアントパッケージ
(スタティックにリンクし共有ライブラリに依存していないもの)
を単にアップグレードするだけで十分です。MySQL
サーバー (たとえば、Red Hat Linux)
のように同じパッケージに共有ライブラリを含む配布には、弊社の
3.23 MySQL-shared
RPM
をインストールするか、あるいは
MySQL-shared-compat
パッケージを使用します。(両方をインストールしないでください)。
次のリストに示す RPM
パッケージが利用できます。ここに示した名前では接尾辞
.glibc23.i386.rpm
を使用していますが、あとで説明するように、特定のパッケージでは別の接尾辞を使用できます。
MySQL-server-
VERSION
.glibc23.i386.rpm
MySQL サーバー。別のマシンで動作している MySQL サーバーに接続する際にのみこれが必要です。
MySQL-client-
VERSION
.glibc23.i386.rpm
標準の MySQL クライアントプログラム。通常は、このパッケージをインストールします。
MySQL-devel-
VERSION
.glibc23.i386.rpm
Perl モジュールなどほかの MySQL クライアントをコンパイルする際に必要なライブラリとファイルを含みます。
MySQL-debuginfo-
VERSION
.glibc23.i386.rpm
このパッケージには、デバッグ情報が含まれています。debuginfo
RPM は、MySQL
ソフトウェアの使用には必要ありません。サーバーの場合もクライアントプログラムの場合も同じです。ただし、これらの
RPM
には、デバッガが障害を分析するために必要になる場合がある追加の情報が含まれています。
MySQL-shared-
VERSION
.glibc23.i386.rpm
このパッケージには言語およびアプリケーションが動的にロードされ
MySQL を使用する必要のある共有ライブラリ
(libmysqlclient.so*
)
を含みます。それにはシングルスレッドとスレッドセーフのバイナリが含まれます。このパッケージをインストールする場合は、MySQL-shared-compat
パッケージはインストールしないできださい。
MySQL-shared-compat-
VERSION
.glibc23.i386.rpm
このパッケージには、MySQL 3.23、4.0
などから現行のリリースまでの共有ライブラリが含まれています。それにはシングルスレッドとスレッドセーフのバイナリが含まれます。旧バージョンの
MySQL
に動的にリンクしたアプリケーションをインストールしていて現在のバージョンをライブラリの依存性を壊すことなくアップグレードを希望する際には
MySQL-shared
の代わりにこのパッケージをインストールします。
MySQL-shared-compat-advanced-gpl-
,
VERSION
.glibc23.i386.rpmMySQL-shared-compat-advanced-
VERSION
.glibc23.i386.rpm
これらは
MySQL-shared-compat
パッケージに似ていますが、「MySQL Enterprise
Server – Advanced Edition」
製品用です。古い MySQL
バージョンの共有クライアントライブラリを含める場合は、通常の
MySQL-shared-compat
パッケージではなくこれらのパッケージをインストールします。
MySQL-embedded-
VERSION
.glibc23.i386.rpm
組み込み MySQL サーバーライブラリ。
MySQL-ndb-management-
、VERSION
.glibc23.i386.rpmMySQL-ndb-storage-
、VERSION
.glibc23.i386.rpmMySQL-ndb-tools-
、VERSION
.glibc23.i386.rpmMySQL-ndb-extra-
VERSION
.glibc23.i386.rpm
MySQL Cluster インストールの追加のファイルを含むパッケージ。
MySQL-ndb-tools
RPM
には、Perl
の作業用インストールが必要です。MySQL 5.1.18
より前は、DBI
および HTML::Template
パッケージも必要でした。詳しくは、項2.15. 「Perl のインストールに関する注釈」およびndb_size.plを参照してください。
MySQL-test-
VERSION
.glibc23.i386.rpm
このパッケージには、MySQL のテストスイートが含まれています。
MySQL-
VERSION
.src.rpm
これにはすべての旧パッケージのソースコードが含まれています。ほかのアーキテクチャー (たとえば、Alpha あるいは SPARC) で RPM をビルドする際にも使用できます。
RPM パッケージ名の接尾辞
(VERSION
値に続く)
の構文は次のとおりです。
.PLATFORM
.CPU
.rpm
PLATFORM
および
CPU
値は、パッケージの構築対象になっているシステムのタイプを示します。PLATFORM
はプラットフォームを示し、CPU
はプロセッサのタイプまたはファミリーを示します。
すべてのパッケージは、glibc
2.3
に対して動的にリンクされています。PLATFORM
値は、次の表に示すように、パッケージがプラットフォームに依存していないか、または特定のプラットフォーム用かを示します。
glibc23 |
プラットフォームに依存しない。glibc
2.3 をサポートする Linux 配布で実行 |
rhel3 、rhel4
|
Red Hat Enterprise Linux 3 または 4 |
sles9 、sles10
|
SuSE Linux Enterprise Server 9 または 10 |
MySQL 5.1 では、現在
glibc23
パッケージだけが利用できます。
CPU
値は、パッケージの構築対象になっているプロセッサのタイプまたはファミリーを示します。
i386 |
x86 プロセッサ、386 以降 |
i586 |
x86 プロセッサ、Pentium 以降 |
x86_64 |
64 ビットの x86 プロセッサ |
ia64 |
Itanium (IA-64) プロセッサ |
RPM パッケージ
(MySQL-server
RPM など)
のすべてのファイルを表示するには、次のようなコマンドを実行します。
shell> rpm -qpl MySQL-server-VERSION
.glibc23.i386.rpm
標準の最低限のインストールには、サーバーとクライアント RPM をインストールします。
shell>rpm -i MySQL-server-
shell>VERSION
.glibc23.i386.rpmrpm -i MySQL-client-
VERSION
.glibc23.i386.rpm
クライアントプログラムのみをインストールする場合は、クライアント RPM のみインストールします。
shell> rpm -i MySQL-client-VERSION
.glibc23.i386.rpm
RPM
にはインストールするパッケージが完全であるかまたはその出処を確認する機能があります。この機能に関する詳細は、項2.1.4. 「MD5 チェックサムあるいは
GnuPG
を用いたパッケージの品質の検証」
を参照してください。
サーバー RPM はデータを
/var/lib/mysql
でディレクトリに格納します。RPM はまた MySQL
サーバーを運用するためのユーザー
mysql
(存在しない場合)
のログインアカウントを作成し、サーバーがブート時に自動的に起動するように適切なエントリを
/etc/init.d/
に作成します。(このことは以前インストールを実行しその起動スクリプトに変更を加えた場合、新バージョンの
RPM
をインストールする際に忘れないようにそのスクリプトのコピーを取っておくことを意味します。システム起動時の
MySQL
の自動的な起動に関する詳細は、項2.11.2.2. 「MySQL を自動的に起動・停止する」
を参照してください。
MySQL RPM を /etc/init.d
(直接あるいは symlink を介して)
で初期化スクリプトをサポートしていない旧 Linux
配布にインストールするには、初期化スクリプトが実際にインストールされたロケーションを指すシンボリックリンクを作成する必要があります。たとえば、ロケーションが
/etc/rc.d/init.d
の場合、RPM
をインストールする前に以下のコマンドを使用して
/etc/init.d
をそこを指すシンボリックリンクとして作成します。
shell>cd /etc
shell>ln -s rc.d/init.d .
しかし、現在のすべての主な Linux 配布は
/etc/init.d
を使用している新しいディレクトリのレイアウトをサポートする必要があります。というのは、それが
LSB (Linux Standard Base) 準拠に必要だからです。
インストールした RPM ファイルが
MySQL-server
を含んでいる場合、mysqld
サーバーをインストール後に設定して起動する必要があります。MySQL
を使用して起動する必要があります。
上手くいかない場合には、バイナリのインストールの項で詳細を参照してください。項2.9. 「MySQL を tar.gz
パッケージから Unix
に似たほかのシステムにインストールする」
を参照してください。
MySQL の権限テーブルにリストされているアカウントには、最初はパスワードがありません。サーバーの起動後に 項2.11. 「インストール後の設定とテスト」 の説明に従ってパスワードをアカウントに設定する必要があります。
RPM
のインストール時に、mysql
というユーザーと mysql
というグループがシステムに作成されます。これは、useradd、groupadd、および
usermod
コマンドを使用して行われます。これらのコマンドには、root
で実行される RPM
インストールプロセスによってローカルで管理されるユーザーとグループ
(/etc/passwd
および
/etc/group
ファイルにリストされています)
用に確保されている適切な管理権限が必要です。
ローカル以外のユーザー管理 (LDAP、NIS、など) では、管理ツールが追加の認証 (パスワードなど) を要求することがあり、インストールを行うユーザーがその認証情報を提供しない場合は失敗します。失敗しても、RPM インストールは中止されずに正常に行われます。これは意図したものです。失敗した場合は、所有権の意図的な転送の一部が失われることがあるため、システム管理者がその後手動で一部の適切なユーザーとグループの存在を確保し、RPM 仕様ファイルにある操作に従って手動で所有権を転送することをお勧めします。